気負いなくおいしく鯨文化を継承したい

合同会社ひみつくじら / 石川 元(東京都)

(台東スタートアップ創業スクール 26年度受講修了)

WILD & TRADITIONAL, ⇔ PROGRESSIVE & REFINED.

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WILD & TRADITIONAL, ⇔ PROGRESSIVE & REFINED.
FOR PRECIOUS PLEASURE POWERFUL TABLE.

石川さんのお店、ひみつくじらのロゴの下部に書いてある英文は、自身の想いを凝縮しています。5歳の時、お父さんの晩酌のご相伴にあずかり鯨ベーコンを食べて以来、鯨に興味を持って東京水産大学へ。大学卒業後もいろいろな出会いを経て、自身のコアは「鯨」だと思い鯨肉を扱うメーカーに就職しました。しかし、何だかいろいろとしっくりこない。捕鯨は文化だと大々的にPRしながらも、輸入の鯨肉が市場に多く出回っている実態。さらに、首都圏の沿岸で昔から行われている捕鯨の鯨肉が、実は築地の専門家にすらあまり認知されていない事に疑問を感じていました。
もやもやと考えあぐねていた時、房総の沿岸捕鯨に出会い「このクジラなら、この捕鯨なら必ず感動が生まれる。これからの時代に絶対必要とされる」と確信。やりたい事、やるべき事に可能性を信じられるなら、自分の責任でリスクを背負ってやってみたい。外房の捕鯨会社さんに「東京支社を立ち上げさせてください!という気概で取引を願い出ました」。そして、まずはとにかく、ツチクジラの美味しさの感動を存分に体験していただきたいとの想いから『ひみつくじら』を開店しました。

「鯨を広めよう」や「伝統を守ろう」という気負いはあまりない

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創業の想いをうかがったところ「「鯨を広めよう」や「伝統を守ろう」という気負いは、あまり持っていませんでした」と石川さんの第一声は意外なものでした。
「文化が広がる、伝統が続くというのはあくまで結果です。きちんとした生産者様の原料を丁寧に扱わせていただき、創意工夫し、美味しくお客様に食べていただき、心底元気になるような食事をしていただくこと。それが大事だと思います。文化だから残そう、ではなく、おいしいから自然に残るようにしたいのです」
そして、鯨料理は“時間が止まってしまっている”と感じていると石川さん。確かに、鯨といえばベーコンか竜田揚げといった伝統的な食べ方のイメージが強いかもしれません。それを和食だけでなく、同年代のイタリアンやフレンチのプロなども巻き込んで、いわば鯨という古いと思われがちな食材の原点=ひみつを掘り下げながら“積極的に再構築”し、持続的な進歩と好循環を生み出したい。そんな想いが『ひみつくじら』のお店には詰まっています。

『ひみつくじら』は、希少な沿岸捕鯨でしか入手できないツチクジラを、その時々の最もおいしい食べ方でいただくお店。実は通常、鯨は原体が大きい為に捕獲から末端に届くまでに凍結→解凍→細分化→再凍結を行ったり、何かしらの加工を施さたりする場合が多いのです。一方、『ひみつくじら』では、漁期に捕獲した鯨を解体直後に一度だけ超低温で凍結したものを、市場を経由せずに捕鯨会社から直送してもらっているため、純粋で圧倒的に鮮度が良い状態で提供が可能なのです。なので、旬の時期だけではなく、通年で刺身が食べられるのです。
ツチクジラのお刺身は、プリプリで甘くて何とも言えない滋味だとか。しかも栄養が豊富なので、夏バテした体にも良いそう。刺身だけでなく、ツチクジラと相性がよい房総の地元素材をふんだんに使った他の料理も、味はもちろん体にも優しいものばかり。『ひみつくじら』創業のもうひとつの想いは、「日常に並んでいる“結果”ばかりの食で“プロセスやルーツ”に目を向けるきっかけを作ること」と話す石川さん。

創業スクールを通して得た大きなサポート

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「綺麗にカットされた畜肉が並ぶスーパーで買い物をしていると、“誰がどんなふうに苦労をして生み出されたのか、どの様な背景でそれが脈々と続いてきたのか”を知り、接する機会が少ない。だから、粗末に扱われる。断絶してしまった、都市(消費者)・現代と、地方(生産者)・原始や野生・伝統をブリッジさせ、新しい文化やスタイルが生まれるような店にしたい」。確かに、石川さんがFacebookに綴った捕鯨の様子は想像もできないものでした。

そんな深く強い想いを持って起業を決意した石川さん。創業スクールでは事業の具体化、継続的な見直しとブラッシュアップができ、支援してくれる専門家などメンターとの出会いが収穫だったといいます。また、石川さんは創業スクール選手権で全国優勝を果たしたことによるブランド効果もあるとお話してくれました。
今後は地元以外の商圏へのリーチやお土産商品の開発も考えられているそう。文化=先人たちの偉大な積み重ねを継承するだけではなく、継続的な発展に挑戦する石川さんの今後がますます楽しみです。

上野

台東スタートアップ創業スクール/メトロ設計株式会社

小林さん

詳しく知る

石川さんは、スクール開講前の「創業セミナー」の受講時に講師へ積極的に質問されており、その日のうちにスクールの申し込みをされていました。とにかく鯨の竜田揚のおいしさを広めたいという想いが強く、スクールの期間中にも浅草で開催されたイベントに出店され、2日間とも完売するなどマーケティングリサーチにも非常に熱心に取り組まれていました。その甲斐があってビジネスプランの事業計画にも説得力があり、台東スタートアップ創業スクール一期生の優秀プランとして推薦させていただきました。全国創業スクール選手権のファイナリストに選ばれた時には台東スタートアップ創業スクールの講師陣、卒業生を集めて最終プレゼンの練習をしてもらい、皆さんから厳しいダメ出しをもらった結果、本番審査員の方々にも石川さんの熱い想いが伝わったのだと思います。

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